終活

住まいの終活リフォーム5つのポイント&失敗しない業者選びを解説

「愛着のある我が家にずっと住み続けたい!」


と思っても、家の老朽化や環境の変化などにより住まい方を変える必要がでてきます。定年退職のタイミングで自宅のリフォームを考える人も少なくありません。

リフォームといっても希望する住まいも予算も人それぞれ。しかし安全で暮らしやすい住まいにするという目的は同じです。

この記事では、終活世代の住宅のリフォームポイントや失敗のない業者の選び方とその注意点について解説します。

この記事を最後まで読めばリフォームに関する不安が解消でき、ご自身にとっての最適な終の棲家つくりに踏み出すことが可能です。

終活世代の住宅リフォーム5つのポイント

終活世代のリフォームは、安全性と快適性を向上させる住まいにすることが目的です。個々の住宅の特性や住人の要望に合わせて、必要な改修を優先して実施します。
主なリフォームポイントは以下の5つです。

  1. 浴室の安全強化
  2. バリアフリー化
  3. 空間・空調の見直し
  4. 家具や設備の見直し
  5. 防犯対策の強化

①浴室の安全強化

浴室の安全強化は急務です。厚生労働省の「人口動態統計(2021年)」によると、家庭における不慮の事故で亡くなった人は13,352人でした。
うち、65歳以上が9割。多くは、浴室内でおこっています。
浴室の安全強化策は以下の6つです。

  1. 浴室及び脱衣所に暖房の設置
  2. 出入口の段差を解消するか減らす
  3. 「半埋め込み式」の浴槽を設置
  4. 床材の変更
  5. 手すり・バーの設置
  6. 緊急ブザーの設置

①浴室及び脱衣所に暖房の設置

浴室内外の気温差が引き起こす「ヒートショック」対策として浴室専用の暖房を設置します。乾燥機能も付いているタイプは洗濯物の室内干しにも便利でしょう。
温度差をなくすために脱衣所にも暖房を設置します。

②出入口の段差を解消するか減らす

高齢になると僅かの段差もつまずきやすくなります。特に浴室に入る際の段差は滑りやすく危険です。段差ができてしまう場合は手すりを設置します。

③「半埋め込み式」の浴槽を設置

浴槽の高さが低くなっているほうが入浴しやすいため「半埋め込み式」の浴槽が理想です。さらに浴槽の床面に滑り止めマットを敷いたり、浴槽底面に滑り止め加工を施したりすることで滑って転倒する危険性を減らすことができます。

④床材の変更

タイル貼りの床は水が残り、濡れていると滑りやすくなります。転倒事故を防止するため水はけが良く、滑りにくいようパターン加工が施された床材や転倒時の衝撃を軽減するクッション材がおすすめです。

⑤手すり・バーの設置

浴槽へのまたぎ部分・洗い場での立ち座り・浴槽内に手すりがあると安心でしょう。サポートベンチも役立ちます。

⑥緊急ブザーの設置

万が一の事態に備えて、外部に危険を知らせることのできる通報装置があると安心です。

②バリアフリー化

終活世代のバリアリフォームは将来の必要性を見据えて行いましょう。誰もが、年齢とともに筋力や感覚が衰えていきます。
バリアフリー化することで、家庭内での事故のリスクを減らすことが可能です。
バリアリフォーム後は、体の負担が減り暮らしが快適になります。

バリアフリー化のポイントは以下の3つです。

  1. 段差の解消
  2. 手すりの設置
  3. ドアの変更

①段差の解消

出来る限りの段差を解消します。わずかな段差でも、足腰の弱い方には負担が大きいです。つまずいて骨折し、それが原因で寝たきりになる人も少なくありません。

スロープの設置や床のかさ上げ、式台などを設置して段差を解消します。解消箇所に合わせた適切な方法をとることが重要です。

②手すりの設置

身体を支えるための手すりの設置します。廊下を歩く時、階段を昇り降りする時に壁をつたうのは安全とは言えません。
バランスを崩しやすい箇所には、手すりを設置しておくとよいです。
立ち座りするスペースにも手すりがあれば家の中の移動がしやすくなり、転倒防止につながります。

使用者の背丈や動きに合わせて取り付けることが重要。手すりの形状や滑りにくい材質・太さ、位置に配慮します。しっかり握れるのかを確認することが重要です。

③ドアの変更

引き戸へ変更するためのリフォームの需要は高まっています。ドアの開閉を容易にできるよう、開き戸のドアノブをレバーハンドルに取り替えると握りやすくなりますね。
軽く動かせるタイプの引き戸はラクに開け閉めできるので、移動がスムーズ

ドア幅は750㎜以上あると、車椅子での出入りがしやすくなります。段差解消のために引き戸の下レールをなくした吊り引き戸への変更がオススメです。

③空間・空調の見直し

高齢者にとっては、広いスペースや明るい空間が必要です。ドアの幅や廊下の幅を広く、リビングルームや寝室を広くすると車椅子が利用しやすくなります。
室内の温度を一定に保つために断熱材の改善や窓の断熱対策なども重要です。
個々の好みや体感温度に合わせて、各居室に個別の温度制御ができる暖房機や冷房機を設置できれば完璧ですね。

間取りをどれだけ変更できるかは、住宅の構造や柱の位置によって大きく異なります。生活導線を可能な限り短くし、余裕のあるスペースを設けることがポイント。
2階建て以上の住宅の場合は1階に生活空間をまとめることで、短い導線での生活が可能になります。

④家具や設備の見直し

座りやすい椅子やベッドや高さ調節ができるキッチンやトイレ、手元が見やすい照明などが必要です。
廊下や階段の足元灯があると夜間も安全に移動できるでしょう。

ユニバーサルデザインでは、壁に取り付けられた室内照明のスイッチのボタンが大きくなっています。ボタンを手全体や肩で押せるで、高齢者に優しいデザイン。

ユニバーサルデザインは障がいの有無に関わらず、暮らしやすい社会となるように街や建物・もの・しくみ・サービスなどを提供していこうとする考え方のこと。
バリアフリーを一歩進めた考え方と言われています。

⑤防犯対策の強化

終活世代の防犯対策の強化は必須。なぜなら高齢者宅を狙った凶暴な犯罪が増え続けているからです。
ドアチェーンや防犯バーの設置はもちろんですが、下記の3つの対策で強化できます。

  1. ドアのセキュリティ強化
  2. 照明の確保
  3. 監視カメラの導入

①ドアのセキュリティ強化

二重ロック機能のある鍵を取り付け、鋼板を使った耐久性の高いセキュリティドアを導入します。ドア枠を強化することで、ドアのこじ開けを困難にすることが可能です。
ドア枠には金属製の補強パーツを取り付けたり、木製の枠を金属製に交換します。

②照明の確保

住居周辺の照明が明るいほど、不審者の侵入を防げます。
外灯の設置や、自動的に点灯する照明器具の導入が有効。

③監視カメラの導入

監視カメラを設置することで、不審者が侵入した際の証拠となります。
不審者の侵入を抑止する効果も期待できるでしょう。

終活世代に段階的リフォームをおすすめする3つの理由

終活世代のリフォームは、必要な改修を優先して段階的に行うほうがよいです。
とはいえ、退職金で大規模リフォームを検討している方は少なくありません。

「介護が必要になってから、リフォームをするのでは遅い!」

というお叱りも踏まえつつ、段階的リフォームをおすすめする理由は以下の3つです。

  1. ニーズの変化に対応できる
  2. 費用を分散できる
  3. 介護保険が使える

①ニーズの変化に対応できる

終活世代のリフォームニーズは時間とともに変化することです。
段階的なリフォームは、変化に合わせてリフォーム内容や設備の選択を柔軟に行えます。
新たなリフォームが必要になれば、前段階のリフォームを経ているので適切な対応が可能。

リフォームの効果や必要性を経験することで、より効果的なプランが立てられます。必要のないリフォーム費用を避けることができるのでしょう。

②費用を分散できる

段階的なリフォームの場合、費用を分散させることができます。
必要な箇所から工事を進めるので、費用負担を軽減することが可能。

自宅を終の棲家にすると決めても、高齢者施設への入所を余儀なくされるかもしれません。将来自分や家族ににどの程度の介護が必要になるかは予測できませんよね。
施設の入所に必要な高額費用を確保しておくのが安心でしょう。

③介護保険が使える

介護が必要になってからのリフォームには介護保険が適用されます。
対象となるリフォーム内容や利用の流れなどを解説しますね。

利用対象者

要介護や要支援認定を受けている介護保険の被保険者が自宅で生活していること。
(福祉施設に入所している場合や病院に入院している場合は対象外)

介護保険の被保険者、すなわち40歳以上かつ、要介護認定で「要支援1〜2」もしくは「要介護1〜5」のいずれかに認定されていること。

対象となるリフォーム

・手すりの取付け
・段差の解消
    転倒防止と移動をスムーズにすることを目的とした工事
・床材・通路面の材料の変更
    転倒防止などを目的に滑りにくい床材に交換するという工事
・引き戸等への扉の取替え
    重くて開けにくい引き戸を、軽い引き戸に取り替える工事も可
・洋式便器等への便器の取替え
    洗浄機能や暖房機能がついている便器でも可
・上記に付随する改修工事
    手すりを取り付ける為の下地工事、浴室の床のかさ上げに伴う給排水設備工事など

申請から支給までの流れ

補助金を受給するためには、「工事を始める前に」申請が必要です。
各市区町村に補助金申請→利用者がいったん工事施工業者に全額を支払い、 リフォームを行う→リフォーム完了後に各市区町村から補助金が給付される。

支給限度基準額

20万円
 要介護状態区分が重くなったとき(3段階上昇時 )転居 した場合は再度20万円までの 
 支給限度基準額が設定されます。  

終活リフォームで失敗しない事業者選び

画像引用元:国土交通省HP

リフォームの概要が決まれば、リフォーム事業者に工事を依頼します。
リフォーム価格には定価はありません。
そのため複数の業者から見積もりを取って、比べることが重要です。

見積もりを依頼する際は「住宅リフォーム事業者団体登録制度」に登録された団体に加盟しているリフォーム事業者から選ぶことをおすすめします。

住宅リフォーム事業者団体登録制度とは
国土交通省によって創設された制度のこと。住宅リフォーム事業の健全な発達及び消費者が安心してリフォームを行うことができる環境の整備を図るために、国土交通省の告示による住宅リフォーム事業者団体登録制度を創設しました。

「住宅リフォーム事業者団体登録制度」に加盟しているお近くのリフォーム事業者がWEBで検索可能です。

登録団体には、消費者の相談窓口があります。
一定額以上の工事で重大な欠陥が見つかった場合には、瑕疵(かし)保険から保障を受けることができるので安心ですね。

トラブルが多いリフォーム工事は、安心できる事業者を選ぶことが重要になります。     

訪問販売によるリフォーム工事で「契約をせかされて不要なリフォーム工事をした」などといったお困りごとは消費生活センターへ、ご相談されることをおすすめします。

終活世代の住宅リフォームを行うことで、より快適な暮らしを実現する

終活世代のリフォームポイントは以下の5つです。

  1. 浴室の安全強化
  2. バリアフリー化
  3. 空間・空調の見直し
  4. 家具や設備の見直し
  5. 防犯対策の強化

ニーズの変化に対応できる段階的リフォームは、必要のないリフォームを避けることができるでしょう。費用も分散できるので、老後に必要な資金の確保もできます。

介護が必要になった際は介護される人と介護する人、両方の身体の負担が減るリフォームにすることが重要です。

相見積もりは「住宅リフォーム事業者団体登録制度」に加盟しているリフォーム事業者への依頼が安心ですね。