終活

やらないと危険!デジタル遺品の生前整理4選【見られたくないデータは死後に自動消去】

  • 家族に内緒にしている口座がネット銀行にある
  • パソコンの中に誰にも知られたくないデータがある
ヒロ

人に知られたくないことって、ありますよね!でも亡くなったあとのことを考えると、心配です。デジタル遺品の生前整理をしましょう!

デジタル遺品とは、持ち主がなくなりパソコンやスマホ・タブレット・クラウドなどに保存されたデータのことです。

遺族は故人の機器から情報を引き継がねばなりませんが、IDやパスワードが分からないとアクセスできません。アクセスができないとアカウントの乗っ取りや契約に関するトラブルに巻き込まれたり、相続手続きが遅延する可能性もあるのです。

この記事では、デジタル遺品の生前整理について解説します。

記事を最後まで読めば、デジタル遺品を生前整理する必要性とデータの仕分け方・保存方法や消去方法がわかるのでひとりで生前整理を進められるでしょう。

あなたは自身が遺す情報の不安から解放され、遺族はあなたの死後に発生するさまざまな手続きで苦労することはありません。

超高齢化社会を目前に控えた日本では、デジタル遺品をめぐるトラブルは急増すると予測できます。判断能力を失うまえに、デジタル遺品の生前整理を行うことは重要です。

デジタル遺品で起こり得る!3つのトラブル【生前整理すべき理由がわかる】

デジタル遺品を生前整理しなかった際に起こるトラブルは、主に以下の3つです。

  1. 電子管理する金融資産が把握できない
  2. 定期購入やサブスクを解約できない
  3. SNSのアカウントを乗っ取られて悪用される

デジタル遺品について、遺族から全国の消費生活センターへの相談が増加。これにより、国民生活センターはデジタル遺品リストを作るよう呼び掛けています。

①電子管理する金融資産が把握できない

電子管理する金融資産を把握できないと、遺族は相続トラブルに巻き込まれます。なぜなら電子管理する金融資産も相続財産だからです。

電子管理する金融資産は主に以下の3つになります。

  1. 預金を管理するネット口座
  2. ネット証券口座
  3. キャッシュレス決済

①預金を管理するネット口座

・ネット銀行の預金口座
 楽天銀行、住信SBIネット銀行、PayPay銀行など
・無通帳型に切り替えた預金口座
 三菱UFJ銀行の「Eco通帳」・三井住友銀行の「SMBCダイレクト」・ゆうちょ銀行の「ゆうちょダイレクト」など

預金ネット口座も整理の際は、紙の通帳がある預金口座と同等の手続きが必要になります。
遺産分割後に資産が発覚すれば相続手続きはやり直さなければなりません。

相続が開始してから(被相続人が亡くなってから)半年ほど経った頃に税務署から「相続税についてのお知らせ」が届き、慌てることが少なくありません。
相続税の申告期限は相続開始から10か月以内と決まっているのです。申告書の作成には資料集めや財産評価など多くの工程があります。間に合わなくなる可能性も出てくるので注意が必要です。

②ネット証券口座

・ネット取引専用の証券口座(楽天証券・SBI証券・マネックス証券など)

FXや株取引などをしていると、いつの間に莫大な損失になっていることも。大きな負債を抱えていた場合、負債も相続することになるため大きなトラブルを引き起こす可能性があります。

③キャッシュレス決済

・交通系ICカード(Suica・PASMO・ICOCA・ PiTaPa・ Kitacaなど)
・バーコード決済アプリ(PayPay・Amazon Pay・LINE Pay・楽天ペイなど)

電子マネーは現金と同等の経済価値を持つため、相続税評価でも現金と同様に評価されるので注意が必要です。

日本航空や全日空のマイルは相続財産です。航空会社によって取り扱いが異なるため確認が必要になります。なお、買い物で貯まるポイントの多くは本人が死亡すると権利が失効するため注意しましょう。

②定期購入やサブスクを解約できない

・ネット通販の定期購入
・サブスク(Amazonプライム・Netflix・Hulu、DAZN・Spotifyなど)

マイクロソフトのように、自動引き落とし等がストップしたら契約解除となる規約のサブスクもありますが少数派です。大半はクレジットカードを解約しても、銀行口座が凍結しても退会手続きを行わない限り請求が続きます。

③SNSやブログのアカウントを乗っ取られて悪用される

・SNS(Facebook・LINE・YouTube・Instagram・Twitter・TikTokなど)
・ブログ

放置していると第三者にアカウントを乗っ取られ悪用されたり、個人情報が流出する危険性があります。

デジタル遺品やるべき!4つの生前整理【すぐできる対策を解説】

デジタル遺品の生前整理をすれば、死後に起こるトラブルは回避できます。
主な対策は、以下の4つです。

  1. アカウントとパスワードの管理
  2. ファイルの整理
  3. SNSの整理
  4. 電子メールの整理

①アカウントとパスワードの管理

デジタル遺品を整理する上で最も重要なのは、アカウントとパスワードの管理です。生前整理を行う際には、使用しているアカウントやパスワードをまとめて安全な場所に保管しておきます。パスワード管理アプリを利用することもおすすめです。

ID・パスワードなどをまとめて、エンディングノートに記載して遺族に伝える方法もあります。

サブスクの死後手続きはネット上で行うので、故人のアカウント情報は必須です。
サブスクのユーザ名(ID)・パスワード・支払い方法・決済口座などの情報はまとめておきましょう。死亡後の解約手続き方法もまとめておく利用頻度の少ないサービスは生前に解約しておくのがおすすめです。

主なサブスクの死亡手続き(プラウザでのやり方)
Amazonプライム(電子書籍・動画・音楽) ログイン後「ヘルプ」画面から「カスタマーサービスに連絡」を選び、チャットで契約者の死亡を通知。案内に従って手続きを行う。
Netflix(動画) ログイン後「アカウント情報」画面から「メンバーシップのキャンセル」のリンクをクリックする(代理人による解約可)
Hulu(動画) ログイン後「オーナープロフィール」を選び、解約手続きを行う。支払い方法によって解約手順が異なる(代理人による解約可)
DAZN(スポーツ中継) ログイン後「マイアカウント」を選び「登録情報」の「退会する」を選ぶ。アプリ内課金の退会方法は異なる(代理人による解約可)
Spotify Premium プラン(音楽) ログイン後「プラン変更」を選び「Spotifyキャンセル」から「Premium キャンセル」を選ぶ(代理人による解約可)

②ファイルの整理

デジタル遺品には、写真や動画・文書などのファイルが含まれます。生前整理を行う際には、これらのファイルを整理し必要に応じてバックアップ(外づけハードディスク、USBメモリなど)を取ることが大切です。クラウドストレージを利用し、大事なデータは保存しておきましょう。

画像・映像ファイル 不要になったファイルは削除。残したいファイルはテーマ別にフォルダ分け。内容をサムネイル表示できるパソコンの方が便利です。スマホやデジカメ、ビデオカメラで撮影したファイルはパソコンに移管した方が効率よく整理できます。
インストールしたファイル 使わないソフト(アプリ)はアンインストールで削除。パソコンの場合、不要なデータがたまったらディスクをクリーンアップする。WindowsOSなら、ドライブのプロパティから「ディスククリーンアップ」を選び、削除するファイルにチェックを入れてOKボタンを押します。
PDFファイル 仕事用の資料は案件ごとにフォルダを作って仕分け。印刷後に不要となったファイルは削除します。

家族に遺したいデータをパソコンで保存す方法
テーマごとにフォルダを階層化して保存します。子どもの写真なら「子どもの名前フォルダ」→「年齢フォルダ」→「運動会フォルダ」と次々と階層化します。ファイル名など家族が見ても分かるよう工夫しておくと安心です。

③SNSの整理

SNSのアカウントや投稿も、デジタル遺品の一部となります。生前整理を行う際には、自分が使用しているSNSアカウントや投稿を整理し必要に応じて削除することが大切です。

④電子メールの整理

電子メールアカウントも、デジタル遺品の一部です。生前整理を行う際には、自分が使用している電子メールアカウントを整理し定期的に削除しておきましょう。

迷惑メールは即座に削除。受信メール・送信メールは過去2~3ヶ月分だけ残して、あとは削除します。重要なメールは古くても残しておくのがおすすめです。

誰にも見られたくない!デジタル遺品の保存と消去方法を解説

誰にも見られたくないデジタル遺品の保存方法と消去方法を解説します。どれもカンタンなので、ひとりで操作・設定することが可能です。

保存方法

スマホやデジタルカメラ、ビデオカメラで撮影した見られたくない写真や動画はパソコンに取り込みましょう。

ファイルの読み取り・書き込みにパスワードを設定できる機能があります。ファイル形式で知られたくないデータは、読み取りパスワードを設定。Windows10やWindows11には、フォルダを暗号化してロックする機能があります。ファイルのパスワード設定とフォルダの暗号化を併用すれば、セキュリティーをより強固にすることが可能です。

完全消去する方法

パソコンやスマホは、本体やOSを初期化できます。必要なデータを記憶メディアなどに保存したうえで本体を初期化するのが確実です。
もっとも、スマホはアプリごとにデータが管理されています。画像や動画に関連する各アプリを起動して、見られたくないデータは削除すれば完了です。

死後、自動的に削除する方法

自分の死後に、パソコンやスマホの誰にも見られたくないデータを自動で削除する方法を紹介します。

パソコン編

遺言ソフト終活ソフトを利用することです。任意の期日を過ぎてからパソコンを起動したり本人確認ができなかった場合、指定したファイルが自動で削除される機能があります。

無料の終活ソフト「編みノート」

編みノートは、遺産整理のマレリークを運営する(株)ネオプライスが配布する終活のための無料ソフトです。編みノートはデジタル情報を生前に整理し、指定した期間パソコンにログインしなかった場合に自動で表示することが可能。タブという見出し機能を使って「伝えたいこと」や「知っておいてほしいこと」を残したり、「自分が死んでしまったあとに知られたくないこと」を誰にも気づかれることなく自動的に抹消することができます。

スマホ編

スマホには、事前に指定したファイルに自動で削除できるアプリは今のところありません。

アンドロイドOSのスマホなら、Googleアカウントを一定期間(3~18ヶ月)使わなければ、アカウントデータが自動削除される機能があります(アカウント無効化管理ツール)。この機能をオンにすると、GmailやGoogleドライブのデータが期日後に自動削除されます。便利な機能ですが、まめに期日の変更が必要です。

デジタル遺品の生前整理の必要性を理解して、しっかり対策する!

形として遺らないデジタル遺品のトラブルが増加しています。

デジタル遺品の生前整理を行っていなければ、相続手続きの遅延、個人情報の流出やアカウントが乗っ取られ遺族がトラブルや悪質な犯罪に巻き込まれる可能性も。

金銭的な負担だけでなく、故人が保存していたデータによって家族が傷ついたり困惑したりすることは避けなければなりません。

やるべき対策は以下の4つです。

  1. アカウントとパスワードの管理
  2. ファイルの整理
  3. SNSの整理
  4. 電子メールの整理

IDやパスワードなどの極めて重要な情報は、エンディングノートに記入しておくと安心ですね。

ヒロ

デジタル社会となった今、デジタル遺品の生前整理は最重要事項と言えます。しっかり対策しておきましょう!